クローン技術の発展:現在のクローン技術は発明からどのぐらい進歩したのか

1997年、ドリーという名の赤ん坊の羊が世界で初めてクローン技術によって誕生したと発表されました

ドリーがクローンであるというのは、細胞核のDNAが母親と全く同じだからです

つまり母羊と娘羊の細胞は同じ遺伝物質を持っているということです

言ってみれば世代をまたいだ一卵性双生児のようなものがクローン技術によって誕生したのです

2018年現在、クローン羊のドリー誕生から21年経ちました

現在クローン技術はどの程度発展を遂げているのでしょうか、倫理的観点から人間のクローン技術の研究は公に行われていませんが秘密裏にクローン技術を進めている国の情報を集めています

クローン技術とは

クローン技術とは、「クローン」つまり遺伝的に同一な個体を作製する技術であり、古くから農業において使われていた技術のことです
現代においてクローン技術は主に畜産事業、農作物、園芸物に扱われています

畜産分野においては、クローン技術は家畜の改良を進めるのに有効な手段の一つであり、生産性の向上、品質の向上という効果が期待されます。 例えば、

  1. 乳量が多く、飼料効率に優れた生産能力の高い牛を多数生産・確保すること
  2. 肉質が良く、飼料効率に優れた牛を多数生産・確保すること

に役立つと考えられています。
いずれにしても、コストの低減と品質の向上を目指した優良種畜の増殖と家畜の改良を通じ、畜産の国際競争力を高めるための有効な手段です。このほか、畜産分野以外でも動物のクローン技術は、

  • 医療分野をはじめ多くの分野において、同じ遺伝子を持った実験用動物の大量生産手段
  • 遺伝子組換え技術との組み合わせによる病気の治療に必要な医薬品(タンパク質)の大量製造手段
  • 絶滅の危機に瀕している希少動物などの保護
  • 再生の手段

などへの利用が期待されています。
先進諸国でも同様な目的でクローン技術の研究・開発が行われています。最近ではヒトへのクローン技術の応用について新聞などで報道されていますが、クローン技術によりヒトの個体を作成することは、安全面、倫理面の問題から、国際的に規制される流れにあります

クローン技術を用いた羊ドリー誕生の衝撃

スコットランドにあるロスリン研究所は、ドリーを生み出すのに核移植という手法を用いた

これはドナーとなる大人の細胞から遺伝物質を取り出し、あらかじめ遺伝物質を取り除いておいた未受精卵に移植する方法です

ドリーの場合、ドナー細胞はフィン・ドーセット種の6歳だった雌ヒツジの乳腺から採取されたもので、核移植後、卵細胞に電気ショックを与えると細胞は分裂し胚になりました

ドリーの誕生が衝撃的だったのは個体の特定の部位から撮った細胞を使っても、全く新たな個体を作ることができると科学の世界で証明されたからです

ドリー以前は科学者のほとんどが細胞は特定の組織に分化した後では特定の細胞にしか分化できないと考えられていました

つまり心臓の細胞は心臓の細胞にしかなれず、肝臓の細胞は肝臓の細胞しか作れないと考えられたのがドリー誕生によって覆ったのです

母親のヒツジから採取された細胞でできたクローンヒツジ、ドリーは多くの点で母親の姿とは異なっていました

例えばドリーはテロメアが極端に短かったのです

テロメアとは、遺伝子を運ぶ物質である染色体の末端にある、細いひも状のタンパク質のことです

テロメアの働きはまだ正確にわかっていませんが、細胞を保護修復するのに役立っているものらしいです

クローン羊、ドリーが年齢を重ねるにつれてテロメアの長さは短くなっていきました

ドリーは母親から6歳児のテロメアを受け継いでいたので、ドリーのテロメアは生まれつき同じ年齢の平均的な羊よりも短かったのです

ドリーは一見普通と変わらないように見えましたが、肺がんと重度の関節炎を患い、2004年に6歳で安楽死させられています

ちなみにドリーの種別、フィン・ドーセット種の平均寿命は11~12歳なので、半分の年齢でこの世を去りました

ドリーは死ぬまでに子羊6頭の母親になりましたが、この6頭は通常の方法で生まれています

クローン羊ドリーの作り方:技術解説

クローン技術には、ドナー細胞として用いる細胞の種類によって、次の2つがあります。

  1. 受精後発生初期の胚(精子と卵子が受精した受精卵が、その後細胞分裂を続けていく初期の段階)の細胞を用いる方法(受精卵に由来する細胞からクローンを作出する技術とい う意味で「受精卵クローン技術」と呼ばれています。)
  2. 皮膚や筋肉などの体細胞を用いる方法(体細胞からクローンを作出する技術という意味で「体細胞クローン技術」と呼ばれています。)

それぞれのクローン技術の具体的な内容は、次のとおりです。

1.受精卵クローン技術は、受精後5~6日目で、16~32細胞へと細胞分裂が進んだ状態の受精卵(胚)をひとつひとつの細胞(割球)に分けます。
割球のひとつひとつをそれぞれレシピエント卵子へ核移植・細胞融合し、培養した後、仮親牛へ移植・受胎させ、お互いにクローンである牛を作製します。
こうして生まれた受精卵クローン牛同士は、遺伝的に同一なものであり、いわば、人工的 に一卵性の双子や三つ子を産ませる技術といえます。 この技術によって我が国でも、1990(平成2)年に受精卵クローン牛を誕生させることに成功しました。

2.体細胞クローン技術は、クローンを作出したい牛の皮膚や筋肉などの体細胞を培養し、ドナー細胞とします。その後は、レシピエント卵子への核移植等、受精卵クローン技術とほぼ同じ方法により、クローン牛を作製します。こうして作製された牛は、ドナー細胞を提供した牛(ドナー牛)と同じ遺伝子の組み合わせを持ちますので、ドナー牛のクローンであり、さらに、同じ個体のドナー牛の体細胞から複数の子牛を作製すれば、作製された子牛同士もクローンです。

クローンの成功確率

体細胞クローン技術は、畜産・医療分野や絶滅動物・絶滅危惧種の復活・保存などへの応用が期待されています。もちろん、発生・再生研究分野においても重要な研究課題でもあります。

しかし、1997年にクローン羊「ドリー」の誕生が報告されてから21年経っても、クローン作製の成功率はいまだに低いままなのです。

クローンの成功確率は、どの種でも非常に低く、公表されている研究によると再構築胚のうち無事に子供として生まれるのは1%程度と言われています

もっとも失敗例がほとんど公表されていないため、実際のクローン誕生成功確率はもっと低いとみられています

 

研究チームは、初期胚の分子や構造の時間変化を胚を傷つけずに生きたまま長時間観察できる技術(ライブセルイメージング技術)を開発し、なぜ、成功率が低いのかを探りました。クローン胚の発生開始から着床期直前までの3日間、連続的に観察して、体細胞クローンマウスが生まれる条件を解析しました。

その結果、成功率が低い最大の原因は、初期胚の発生時に起こる染色体の分配異常にあることを突き止めました。8細胞期(3回目の体細胞分裂)までの卵割過程の間に分配異常を起こした胚が80%以上あり、それらの胚からはクローンマウスは得られませんでした。8細胞期から16細胞期までに分配異常を起こした胚では2.5%、16細胞期までに1度も分配異常を起こさなかった胚では7.1%の確率でクローンマウスが産まれました。今回、胚を傷つけずに長時間観察できる技術を開発したことで、初期胚の段階で将来個体になる可能性がある胚と、ない胚を見分けることができるようになり、それらを比較することでより詳細な原因究明につながるだけでなく、体細胞クローンの作製効率の向上が期待されています

ヒトのクローン作成について

ヒトのクローン作成について、まだ法整備がなされていない1900年代後半、各国で多くの実験が行われました

韓国人の研究者グループが1998年にヒトのクローン胚の作成に成功したと発表しています

ただし実験は四細胞期で終わっており、成功を裏付ける証拠はありません

またアメリカの物理学者「リチャードシード博士」は1998年に子供が欲しいが、子供を授かれない夫婦を対象とした「人類初のクローン人間」を作ると発表しています

このプロジェクト自体も「成功の報告はない」状態でクローズされています

クローン研究に関する5つの問題点

クローン研究に関する問題は主に5つに分けて議論がなされています

端的にまとめると下記のような問題です

以下の問題がクリアにならない限りクローン技術は発展しても様々な問題が出てくることでしょう

(1)そもそも神ではなく人間が遺伝子を操作することが問題だという話(宗教的観点)

(2)クローン人間まではつくってはいけないという話

(3)受精卵などの胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう)を利用して研究をすることに対する倫理的問題

(4)霊長類を利用して研究することに対する動物虐待の観点からの問題

(5)人間のクローン臓器について議論し尽くされていない新しい問題

クローン人間が禁止される理由

日本では「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」が設けられています

ヒトのクローン技術が法律によって禁止されている目的は以下になります

第一条 この法律は、ヒト又は動物の胚又は生殖細胞を操作する技術のうちクローン技術ほか一定の技術(以下「クローン技術等」という。)が、その用いられ方のいかんによっては特定の人と同一の遺伝子構造を有する人(以下「人クローン個体」という。)若しくは人と動物のいずれであるかが明らかでない個体(以下「交雑個体」という。)を作り出し、又はこれらに類する個体の人為による生成をもたらすおそれがあり、これにより人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序の維持(以下「人の尊厳の保持等」という。)に重大な影響を与える可能性があることにかんがみ、クローン技術等のうちクローン技術又は特定融合・集合技術により作成される胚を人又は動物の胎内に移植することを禁止するとともに、クローン技術等による胚の作成、譲受及び輸入を規制し、その他当該胚の適正な取扱いを確保するための措置を講ずることにより、人クローン個体及び交雑個体の生成の防止並びにこれらに類する個体の人為による生成の規制を図り、もって社会及び国民生活と調和のとれた科学技術の発展を期することを目的とする。

日本の法律ではクローン人間の生成自体が禁止されている上に、人間の体内に胚を移植すること自体も禁止されています

このように、倫理的には日本のみでなく世界的に見てもクローン人間の生成は禁止されている様で、いまだにクローン人間が実在したという報告はありません

クローン人間の作成が各国で倫理的な面で禁止されていますが、ヒトのクローン作成の研究を進めることで様々な病気を治療できる可能性があり、研究大国ではヒトのクローン作成が進められていると言われています

ヒトのクローン研究は特にパーキンソン病、多発性硬化症、心臓病、脊髄損傷などの現在の医療技術では再生不可能な課題に対して新たな組織移植手術に繋がる可能性がこの分野にはあるのです

ロシアや中国のニュースではたまにこの分野の研究ニュースが出てきたりしています

再生医療に興味のある方はロシア、中国の動向をウォッチしているといいかもしれません

クローン猿が中国で誕生

 

2018年1月24日のアメリカの科学雑誌「セル」に中国の研究チームが猿の体細胞を利用して、遺伝的に同じ情報を持つクローンを2匹誕生させることに成功したという論文が発表された。東南アジアに生息する身長50センチほどのカニクイザルという霊長類のクローンベイビーが、誕生したのです

これまで、ウニやカエルの研究に始まり、様々なクローンの実験が行われてきた。哺乳類としては、1996年にクローン羊のドリーが誕生。その後、科学者たちは同じ方法を用いて、牛や犬など20種類以上の動物のクローンを誕生させてきた。しかし、霊長類のクローンが誕生したのはこれが初めてだそうです

クローン猿が誕生したことによって、ヒトのクローン問題が再燃しましたがカニクイザルのクローンを作成した中国のチームも大前提として、「人間のクローンをつくるつもりはない」と断言しています

今後、カニクイザルを利用して人工臓器をつくる実験など、人間の幹細胞では倫理的に難しい、ないしはスピードに制約のある分野の研究を、他の霊長類で進めていくことが考えられ、人間と同じ種族である猿から人間の臓器が誕生するひもそう遠くはないのかもしれません

すなわち霊長類の人工臓器が完成したら、同じものを人間のiPS細胞でできないか研究し、「最初から人間になる可能性のない細胞を使って臓器をつくる」ことができるため、人間に関してはすべての倫理的な問題をクリアできる可能性があるのです

難病がクローン技術によって再生する日が近ずいています

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